学長!!私立大学の職員は年功序列で年収1,000万超えるという記事を複数目にしました。
最高じゃないですか!?しかも定時上がりなんてことも書いてありましたよ。ホントのところどうなんですか??
大学都市伝説の一つとして語られる私大職員の給与についてお答えします。
先に申し上げておきますが、
独自調査等で大学職員の給与を公開しているブログはかなりの誇張が入っています。
何でそういう記事が乱立するのかという点も含めてこの記事で説明します。
学長ひろしの自己紹介
『私立ひろしとまなぶ大学』学長のひろしです。
リアルな世界では大手私大職員として20年以上の勤務経験あり。
大学で働いている中で世間一般で言われていることと実態との乖離を感じることが多々存在します。
このブログの中では学長を名乗り、大学勤務の中で仕入れた大学生・受験生・保護者の方々に伝えたい情報を主に発信しております。
私大職員が年功序列で1,000万円もらえるわけがない理由
なぜ大手私立大学の職員が年功序列で皆が将来年収1,000万以上もらえるわけがないと考えるか説明します。
何故かと言えばですね、大学教員の教授、准教授の平均年収が以下の水準だからです。
平均年齢 | 所定内給与(月額) | 年間賞与 その他特別給与額 | 年収合計 | |
教授 | 57.7 | 667,800 | 2,978,800 | 10,992,400 |
准教授 | 47.8 | 539,500 | 2,215,500 | 8,689,500 |
- 教授で年収約1,100万円。
- 准教授で年収約870万円。
大学教授は厳しい審査を通り抜けて教授まで昇格した方々。平均年齢も高くなってきます。
その方々で平均年収がこの水準なのです。
その一方で職員は年功序列で最終的に1,000万もらえるって??
そんなはずがないでしょうという話です。
大学の理事は主に教員と外部の方で構成されています。
その方々が教員を差し置いて職員だけそんな好待遇にするとは考えられません。
教員は専任になれるまでの助走期間も長く、専任として働く間に十分な給与が支払われないと先行投資した額を回収できません。
十分な給与を支払わないと大学は優秀な教員人材を確保できません。
ではネット記事で1,000万の大学の実際の年収は、、
学長ひろしがリアルな世界で働いている大学も、とあるブログによると、
年功序列 55才 残業代含めず年収1,000万超え!!
と紹介されていました。
すごご!そんなところで働きたいわ。
先に答えを出しますと、実態としては上の条件ですと昇格していなければ700万超えくらいです。
約300万円分の誇張があります。。
大学職員は本当に年功序列なの?
次に本当に年功序列なのかですが、
40過ぎたひろしの毎年の月給の上がりは600円前後(涙)
給与を上げようと思ったら昇格試験を受けて合格しないといけません。
これがそこそこハードル高く、合格率は20〜30%。
何年も落ち続けて諦める方や、最初から申請しない方も多数おります。
その場合、年齢での自動昇給は35歳辺りで緩やかになり、ひろしのような40代になると1年で数百円程度の上昇になります。
年収1,000万を超えようと思ったら、
- 昇格試験に合格し続け
- 残業して
- 扶養手当や子供手当も全部入れて
そこまでやれば大手の私大なら1,000万は超えてくるでしょう。
これでもかなりの高給!!
ではなぜ誇張記事が乱立するのか??
- 大手私大職員は定時上がりの年功序列で年収1,000万超え!
- 残業なし!
- 仕事は楽な単純作業ばかり!
なぜこうした記事がたくさんあるのかと言えば、
現職に疲れたサラリーマン達を転職に誘導するため。
自身のブログに貼ったアフィリエイトや有料note、有料コンサル等でお金を稼ぎたい人がたくさんいるからです。
定時上がりの年功序列で年収1,000万超え!
疲れ切っている時にこんな求人目にしたら飛びつきたくもなりますよね。
実はですね、中途採用で大学職員になる方の離職率は結構高いです。
リモートワークが全然ないし、思った以上に給与安いし、、
辞める方からはそうした正直な声も聞いています。
誇張記事に期待を膨らませ過ぎてしまっていたのかも知れません。
大学職員転職サイトに限らず、こうした楽園を謳って商品を売るビジネスは山ほどありますので注意しましょう。
ホントのところの年収が知りたくなった時はopen work等で年収・社員口コミを確認してみることをおすすめします。
まとめ:大学職員・楽園ではないけれど楽しいよ
本記事では大学職員の給与事情について、誇張記事に騙されないで欲しいとの願いから実態を紹介しました。
大学職員給与の実態
- 年功序列で自動的に年収1,000万は大手私大でもあり得ない
- 昇格審査に合格しないと給与は上がらない
- 昇格しなければ700万辺りで頭打ち
- アフィリエイト・有料note・有料コンサルへの誘導に騙されないで
といったことをお伝えしましたが、面白いもので自分にとって聞こえのいい情報に頭が洗脳された方にはいくらこうした説明をしても分かってもらえないもの。
自分の頭で考える習慣は持っておきたいものです。
最後に大学職員について知るには良い書籍だなと感じた1冊を紹介します。
ご本人も大学職員をされていた倉部史記氏によって書かれた「大学職員のリアル」。
職員の仕事、業界の今と今後、誇張記事と信頼性のおける情報との見分け方等、実態がよくわかる内容となっているので大学職員を目指す方にはおすすめの1冊でございます。